今月のレビュー作品

Shazam!: Power of Hope   推薦者:高木 亮
Chase#1           推薦者:新スパイ大作

レビューコーナーでは皆さんのお便りをお待ちしています!


〜子供の心を忘れかけた大人たちに〜

タイトル:Shazam!: Power of Hope
推薦者:高木 亮

  SMAPの「夜空ノムコウ」という曲のなかに“あの頃の未来に僕らは立っているかな”という一節がある。このフレーズを耳にして、ふと昔のことを思い出した人も多いだろう。誰もが子供の頃にはなんらかの夢を抱いていたはずなのに、それを実現させた人はなんと少ないことだろう。もちろん夢を実現させることだけが唯一絶対の幸福の形ではないが、寂しい世の中ではある。
 この作品の主人公は、日本ではあまり知名度のないヒーロー、キャプテン・マーベルことシャザムである。シャザムというのはビリー・バットソンという少年が呪文を唱えて変身する正統派ヒーローであり、その体には6つの能力(ソロモンの智慧、ヘラクレスの体力、アトラスのスタミナ、ゼウスの力、アキレスの勇気、マーキュリーのスピード)が備わっているとされる。シャザムの姿に変身した後でも、心のなかは少年のままなので、いわば「体は大人、心は子供」という永遠の思春期状態にあり、そこがこのキャラクターの魅力ともなっている。
 さて、ビリーはキャプテン・マーベルの活躍を伝えるラジオ局でDJをしていたのだが、ラジオ局にはマーベル宛の手紙が多数送られてきていた。ビリーはその中の一通に目を留める。それは病院に入院している幼い子供たちからのファンレターだった。その手紙に心動かされたビリーは、キャプテン・マーベルとして病院に赴き、週末を子供たちと一緒に過ごす約束をする。憧れのヒーローと出会えた子供たちは大はしゃぎで、今まで叶えられなかった希望(空を飛ぶ、海底旅行をする、etc.)をマーベルの力を借りて実現してもらう。しかし、いかに優れた力を持ったマーベルでも、叶えることのできない希望や解決できない問題というのは存在する。子供たちの明るい表情とは裏腹に、マーベルの心には自分でも説明できないもどかしさが去来するのだった…。
 「Shazam!: Power of Hope」はポール・ディニ&アレックス・ロスの合作であり、高い評価を受けた「Superman: Peace on Earth」「Batman: War on Crime」(日本語版が小学館プロダクションより発売中)に続く3作目である。前2作と同様にストーリー・アートともに申し分のない完成度であり、ぜひ邦訳してもらいたい1冊である。また、この作品の原画はオークションで販売されて、その金額は、重病を患う子供たちの願いを叶える福祉団体「Make-A-Wish Foundation」に寄付されるという。


【作品データ】
出版社:DC Comics
Written by Paul Dini
Art by Alex Ross

発売:2000年11月
受賞:(特になし)
関連サイト:http://www.dccomics.com/
      http://www.alexrossauction.com/
      http://www.wish.org/

*高木 亮さんのレビューは連載です。



タイトル:Chase#1
推薦者:新スパイ大作

 『追跡、調査せよ!』政府の特殊機関D.E.O.(Department of Extranormal Operations(超常現象対策省)その具体的活動内容は超常現象事件への対応、特殊犯罪なんかの対策、そしてヒーローの横暴を防ぐ為、監視し場合によっては脅迫、監禁をもいとわないというもの。そして、Chaseはその機関の新人エージェント、キャメロン・チェイスの活躍を描いたものである。ヒーロー嫌いの主人公と出てくるヒーローやヴィランとの掛け合い等が面白かったのだが、たった9話+番外編で終わってしまった。その後も、マーシアンマンハンターやシークレットファイルズ&オリジンズなんかにちょこちょこと登場はしている。特にヒーロー嫌いの彼女(後にその理由は明かされるが、ここではあえて伏せておく(笑))の性格やヒーローからの視点でなく、その周囲の者や第三者の視点、周囲反応などをストーリーに織りまぜたスクリプトは大変面白い。
 第一話ではオハイオ州にある中学校で一人の少年がファイアースターターとしての能力を発現する事から物語は始まる。それは新人エージェント、チェイスの受けた最初の事件であった。現場場調査、聞き込み、取り調べなど普通の刑事ドラマなどでもあるようなシーンもちゃんと描写されており、よりストーリーの内容を高めている。そして少年を見つけたチェイスは追い詰め、なんとか捕獲することに成功するが、少年を非難する民衆が警察署に現れ、少年は再び能力を使い逃亡するが…。
 脚本D.Curtis Johnsonとアートワーク担当J.H. williams3世とMick Grayのアートワークも素晴らしい。さらに巻中に「チェイスカード」というDCユニヴァースのキャラクターを説明したD.E.O.の極秘ファイルのようなデザインのカードがあるのも、このキャラの特徴をいかした物であろう。面白いので是非読んでほしい。

【作品データ】
Written by D.Curtis Johnson
Art by J.H. Williams III, and MickGray


PLANETCOMICS.jp
[WorldComicNews] [ComicReview][Contact US!]