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今月のレビュー作品
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タイトル:Scott Mcloud's ZOT!
この物語には三人のヒーローが登場する。一人はもちろんゾットだが、彼のスーパーな装備品(空を飛ぶジェットブーツや愛用の銃テンシューター)を開発したのは発明家の叔父マックスなので、本人自身は「勇敢でちょっと射撃の上手い13歳の男の子」でしかない。むしろ偶然立ち聞きしたシリウスIVの陰謀を正義感から阻止しようとし、たった一人で鍵を盗み出し、自作のミニロボットと変装術で巧みに追っ手をかく乱するヴィクターのほうがスパイ顔負けの活躍ぶりである。この二人に比べれば、周囲の期待に応えられず、鍵の争奪戦でも常に遅れを取る気弱なドルフュス王子は、ヒーローどころか凡人以下かもしれない。しかし最後には彼はその誠実さを武器に、ヴィクターに自発的に返却させることに成功し、王族としての責務を立派に果たしたのである。 この三人に共通するのは「常識や慣習よりも自分が正しいと思ったことを信じる」という潔さだろう。能力的には普通の少年たちが、その純粋な正義の心で行動するからこそ、ヒーローの条件とは能力ではなく信念にあるのだと改めて再認識させてくれる。クライマックスでシリウスIVの国民に救世主として迎えられたゾットは、子供の自分が国民を導けるはずがないと言いつつも、「ヒーローである自分」を否定したりはしなかったのである。同時期のコミックに大流行した「超常の能力に振り回されていらん責任まで抱え込み苦悩するヒーロー」とはえらい違いである。 ついヒーロー論になってしまったが、もちろんこの物語はゾットとジェニーのボーイミーツガール物としても楽しめるし(実際これ以降はそんな話ばかりではある)、最後は大団円で幕を下ろす極上のエンターテイメントでもある。何せ主役のゾットが基本的に単細胞なので、傷つき、悩むのが長く続かない。ヒーローは彼の天分なのだろう。この前向きで夢を忘れないあたりが、全年齢向け(for all ages)のオールタイムベストに選ばれるゆえんなのだろう。こんな傑作が単行本1、2巻まで出たところで出版社のKitchen Sink Pressが潰れてしまい、最終巻が未だ出ていないのが返す返すも悔しいところではある。 【作品データ】 Writer and Artist:Scott McCloud
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過去のレビュー作品
'02.07.28 |
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