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タイトル:THE AMAZING SPIDER-MAN: THE SAGA OF ALIEN COSTUME
推薦者:阿部 静
スパイダーマンは「コスチュームの洗濯と繕い物を自分でする」という点でたいへん親近感のわくヒーローです。他のヒーローも陰では似たようなことをしているのかもしれなすのですが、少なくとも作中で実際に主人公がコスチュームの洗濯や裁縫をする描写があるマンガはあまり見かけません。メイおばさんの目を盗んで洗濯機を回し、ご近所に見つからないようにブラインドをしめきった室内に干したり、針と糸を片手に指を血だらけにしながら戦いで敗れた箇所を夜なべして繕ったりと、いち男子高校生がお手製のコスチュームを維持するその陰には、思わず涙を誘う努力の数々があります。とても映画のご立派なコスチュームからは想像もできません。
さて、そんなスパイダーマンのコスチュームが、一時期だけ真っ黒にモデルチェンジしたことがあるのですがご存知でしょうか。謎の敵ビヨンダーが善悪問わず大量のキャラを謎の異世界「バトルワールド」に召還しバトルロワイヤルを繰り広げさせるという、今や(いろんな意味で)伝説となったMARVEL SUPERHEROES: SECRET WARS (1984) というマキシシリーズの中のことなのですが、我らがスパイディの赤と青のおなじみのコスチュームは激しい戦闘でボロボロになるわ、自慢のウェブシューターは刀狩りのような理由で召し上げられるわ、なんだか自分とかぶる新キャラ(二代目スパイダーウーマン)は登場するわで、黒く丸い謎の物体に思わず手を伸ばしたくもなる状態でした。そんな彼の気持ちに反応するかのように、黒い物体はたちまち彼の体を覆い、新しいコスチュームになるのでした。
こうしてスパイディは、初登場のAMAZING FANTASY #15 (1962) から何度も壁に叩きつけたりゴミ箱に投げ入れたりしながらも付き合ってきた糟糠の妻のような赤青のコスチュームをアッサリと捨て、ブラック・コスチュームに乗り換えたわけですが、それにはいちおう理由があります。この黒いコスチュームはまるで生きているかのようにスパイダーマンの思考に反応し、着脱不要、伸縮自在、自己再生可能、おまけにウェブシューター内蔵と至れり尽くせりの親切設計。もう食事のたびにマスクをいちいち取らなくてもいいし、暑い夏にムレたりもしない。何よりやっと洗濯や裁縫から解放される!とあっては無理もないでしょう。
前置きが長くなりましたが、今回紹介するTPBはこのSECRET WARS直後の話で、レギュラーシリーズでのブラックコスチューム初お披露目となるAMAZING SPIDER-MAN #252 (1984) からを収録しています。地球に戻ってからしばらくは進学問題や女性問題やザコ敵と格闘する相変わらずの日々を送っていたのですが、最初のうちは便利に見えた新しいコスチュームは、次第に持ち主の意思とは関係なく勝手な行動をとるようになります。不安を抱いたスパイダーマンは、ファンタスティック・フォー(FF)のミスター・ファンタスティックこと世界最高の科学者リード・リチャーズ博士のもとを訪れます。博士の答えは明快でした。「このコスチュームは高度に進化した共生体(symbiote)だ。つまり生きている!」って見ればわかるんですけど。
残念ながら、スパイダーマンとブラック・コスチュームは新一とミギー(@寄生獣)のような関係にはなれませんでした。自分のコスチュームが異世界の生物=エイリアンだと遅まきながら気づいたスパイディは、気持ち悪がって離れようとします。FFお得意のスゴい科学でなんとかブラック・コスチュームをひっぺがし捕獲することに成功しますが、今度はスパイダーマンがパンツ一丁になってしまい、やはりFFのヒューマン・トーチことジョニー・ストームの親切な計らいで昔のFFのコスチュームを貸し出してもらいます。マスクをスーパーの紙袋で代用するなど、さすがはスパイディに妙なライバル意識を持つトーチらしい意地の悪さなのですが、どうせならあの不安定分子構造(unstable molecules;伸縮自在のFFのコスチュームに使用されているスゴい科学)を使って一着新調してやれよ、とも思うものですが。
というわけで、エイリアン・コスチュームの登場はわずか7号で終わってしまったのですが、デザインは気に入っていたのかスパイダーマンは黒いコスチューム(お手製)を着続けます(皮肉なもので、フルカラーのコミックでのスパイディが黒い間、白黒の新聞連載のスパイディは赤と青のコスチュームを継続していたそうです)。
その後エイリアン・コスチュームはどうなったかというと、FFの管理を逃れ愛しいスパイディのもとに戻ろうとするも教会の鐘で撃退され(WEB OF SPIDER-MAN #1)、デウォルフ警部(スパイディの協力者であった女刑事)の殺人事件で、スパイディのせいで勇み足記事を書き、マスコミから追放された(SPECUTACLER SPIDER-MAN #107-110;THE DEATH OF JEAN DEWOLFF TPに収録)元記者のエディー・ブロックと出会い、ここに「スパイダーマン憎し」の硬い絆で結ばれた最悪の共生怪物「ヴェノム」が誕生します。そして「ヴェノムと同じ黒いコスチュームなんてヤメテ」という新妻メリージェーンの一言で、スパイダーマンはようやく元の赤と青のコスチュームに戻るのでした(AMAZING SPIDER-MAN #300;SPIDER-MAN VS. VENOM TPに収録)。
【作品データ】
出版社:MARVEL COMICS
出版年:1988年4月
ISBN:0-87135-396-2
著者:Roger Stern & Rick Leonardi, et al.
収録作品: THE AMAZING SPIDER-MAN #252-260 (1984)
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過去のレビュー作品
'02.05.3 SPIDER-MAN: THE DEATH OF GWEN STACY
'02.04.26 Amazing Fantasy #16〜18
'02.04.12 ELFQUEST
'02.03.22
Just Imagine
'02.03.8
THE POWER OF IRON MAN
'02.02.28
Batman: No Man's Land
'02.02.08
Breakfast After Noon
'02.01.16
Hellboy: Conqueror Worm,BLOODSTONE
2002年のレビュー
2001年以前レビュー

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