〜大人はわかっちゃくれない〜
タイトル:JLA: World Without Grown-Ups
推薦者:高木亮
「最近の若者は、目上の人に対する礼儀をわきまえていない。彼らが大人になっ
たら、一体どんな世の中になってしまうのだろう?」これは古代ギリシアの遺跡か ら発見された文章だという。あらためて指摘するまでもなく、世代間の葛藤(親と 子、教師と生徒、上司と部下…etc)というのは、時代と地域を越えて存在する普遍
的なテーマである。これは普通の人間に限った話ではなく、超人的な能力を持つス ーパーヒーローの場合も同様である。彼らは気高い英雄ではあるが、完全無欠の存 在ではない。人の心を持つがゆえに、悩み迷うこともあれば過ちを犯すこともある
。それが若者であれば、なおさらであろう。
バットマンとロビン、スーパーマンとスーパーボーイ、マックス・マーキュリー とインパルス。彼らは皆、一種の師弟関係の間柄にある。大人に対して不平や不満 を感じない子供など存在するはずもなく、三人の少年ヒーローたちもまた、それぞ
れの指導者に対して小さな不満の種を抱えている。しかし、そんな個人的な悩みの 種など吹き飛ばすような、世界規模の大事件が発生する。全世界からあらゆる大人 の姿が消失してしまったのだ!
この大事件を引き起こしたのは、たった一人の少年の歪んだ願望だった。愛情に 飢えた少年マシュー・スチュアートは、考古学者の父親からもらった奇妙な遺物の なかから、太古に封印された魔神を復活させてしまう。魔神はマシューと同化して
、その精神を支配したあげく、「邪魔な大人なんかいなくなってしまえばいいのに 」というマシューの潜在願望を文字通り実現させてしまう。
こうして16歳以下の子供だけが存在する子供世界と、それ以外の大人ばかりが存 在する大人世界とができあがってしまう。大人世界では、JLAのメンバーが調査 を開始し、子供が消失したのではなく、自分たちが別の世界に飛ばされたという事
実を知り、二つの世界の掛け橋を求めて奔走する。一方、子供世界に取り残された ロビン&スーパーボーイ&インパルスも独自に調査を進め、敵の存在を知り、その 本拠地へと乗り込んでいく。しかし、思いのままに現実を改変する能力を持った魔
神の前に、三人の若きヒーローはなす術もなく翻弄されてしまう…。
物語は、JLAが事件の謎を捜査する静の部分(大人世界)と、ロビンたちが敵 の本拠地に乗り込む動の部分(子供世界)とが交互に語られる。さらに、作風の違 う二組のアーティストを起用して、それぞれの世界を描き分けることで、二つの世
界の相違をビジュアル面でもうまく表現している。また、この作品をきっかけにし て「ヤング・ジャスティス」結成へとつながっていくので、そういう点でも見逃せ ないエピソードである。
余談だが、『Young Justice #1』のなかで、レッド・トルネードが、インパルス &スーパーボーイ&ロビンの三者関係を、フロイトの精神分析概念を用いて説明し
ているくだりがある。それによると、インパルスは本能のままに行動する“イド” 、スーパーボーイは基本的な正誤判断をする“自我”、ロビンはモラルを遵守する “超自我”に相当するという。言いえて妙である。
【作品データ】
出版社:DC Comics
脚本:Todd Dezago
作画:Mike McKone & Mark McKenna, Humberto Ramos & Wayne Faucher
発売:1998年。合本が発売中
受賞:(特になし)
関連サイト:http://www.geocities.com/Area51/Nebula/9376/
*高木亮さんのレビューは連載です。随時更新されますのでご期待ください。
〜俺のやり方で”この星”を叩き直してやる!〜
タイトル:marvel boy
推薦者:しし丸
他の国へ行ったとき、初めて会う人の印象によって、その国の印象が左右されることがあるでしょう。たとえば、スーパーマンは初めてあったケント夫妻が良い人だったので、良い子に育ちました。でも、この作品marvel
boyの地球人に対する印象は”最悪”です。
この作品の主人公NOH-VARR(宇宙人らしい変わった名前ですね)は、地球の近くで宇宙船の故障してしまう。(おそらく)艦長のCAPTAIN GLORYの力もむなしく、地球へ不時着しようとしたところ、待っていたのは、ミサイルの山。唯一生き残っていたのは主人公だけ。そんな彼も、公式には”存在しない”とする研究所に入れられ”モルモット”にされるところに。なんとか、彼の持つさまざまな力で脱出を試るが....。
こんなストーリーから始まるこの作品。さまざまな不思議なキャラクターで彩 られているので、ちょっと変わったSFエンターテイメントが楽しめそうです。宇宙人をモルモットにしているDR.MIDASはIRON
MANのできそこないみたいな格好だし、その娘は空飛ぶ覆面娘。落とされた宇宙船には、困ったことに、凶悪な”邪悪な意志”という、見えざる敵が収監されていて、墜落したときに幾つか、その凶悪な意志が地球に落ちてしまっている。立ち向かうべき我らがS.H.I.E.L.Dは、ボスがニックフューリーではなく、”ふとっちょ”ダムダム・デュガンなもんで、なんか頼りない。立ち向かえる力を持つ主人公NOH-VARRは、地球のイメージ最悪で、仲間を殺した地球人なんか滅んじゃえ、なんて思っている。現在のところ第4話までですけど、はてさて、どんなふうにNOH-VARRは地球人を理解し、そして、無事帰っていくことができるでしょう。かなり展開が楽しみです。
ライターは、「JLA」でおなじみ、Grant morrison。ストーリー展開は初期のJLAの様にトリッキーな話の展開に期待。そして、ペンシラーは「Black
Widow」で素晴らしい作品を残した、J.G.Jones。BlackWidowみたいの女性キャラが出てきていないので、ちょっと地味目にまとまっていますけど、華やかなキャラが出てくると、もっと面
白くなるでしょう。この作品、久しぶりに「次回が気になる!」そんなマーヴルの新作です。
【作品データ】
出版社:Marvel Comics
Written by Grant morrison
Illustrated by J.G.Jones
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